いまのはなし
あの選択シーンで、わたしは年を留めることを選んだ。
そう、選んだのだ。限界だった。
我慢できない、心の弱さを責め、責められた。
あの瞬間に立ち返る必要はない。
空いた一年間は、わたしという人間においてのターニングポイントなのだ。
日夜好きなことしかしていないが、糧となる努力をしていこう。
心ははればれとしている。
その隙に、手を掴まれた。
振り向けば、人。
わからないものだと、首を振りたかった。
弱いわたしは、負けてしまった。
これも、ターニングポイントなのだろうか。
わたしの中で、ここまでのあらすじを要約し、これからの展開に対しあれこれとレールを敷いていく。
結局は1人で生きていかなきゃいけない。
自分でなければ他人なのだ。
他人にわたしは渡せない。
絶対に、手放してはならない。
これからに想いを馳せる時間が、無駄を生みだす。
理想なんて現実でないのだから、考えるだけ無意味なのだ。
夢で見たあの表情をされる瞬間が、くるのだろうか。
すこしの怯えと、満悦感に溢れている。
足場を固めるのだ、早急に。
わたしを、渡すことはできない。
絶対に手放してはいけない。